イベントの説明
全脳アーキテクチャ若手の会 第29回勉強会
「哲学的人工知能批判と第3次AIブーム」
—古き良きAIから未来のAIを見る—
日時: 9月4日(月) 19:00~21:00 (開場 19:00)
場所:株式会社ドワンゴ 銀座松竹スクエア 13階 セミナールーム
(http://info.kadokawadwango.co.jp/corporate/map.html)
ニコニコ生放送で配信予定です。
http://live.nicovideo.jp/watch/lv305715224
講演者 (一覧) :
- 坂本 航太郎 (筑波大学 情報数理・物性物理研究室 M2)
- 小川 湧司 (一橋大学社会学研究科 社会人類学研究室 M1)
- 河村 雄輝 (筑波大学人文社会科学研究科 哲学思想専攻 M1)
- 八木 拓真 (東京大学 情報理工学系研究科 M1)
講演概要
1950年代の初期の人工知能研究には、ある種の楽観的見通しがありました。こうした楽観的ムードに対して鋭い人工知能批判を行った研究者として、ヒューバート・ドレイファスという哲学者がいました。彼の批判は当時の人工知能研究に一石を投じたものの、過熱する第3次AIブームの傍ら、当時の批判は過ぎたものとして忘れ去られようとしています。 今回は、ドレイファスの人工知能に対する哲学的批判とその背景のレビューを行い、現在の人工知能研究への哲学的視点の導入を促すと共に、ニューラルネットをはじめとした現行技術がどのような前提に立脚しているのか、異なった背景を持つ4人の発表者が参加者と共に検討します。
各講演者の概要
講演1 「楽観論と打ち砕かれた夢 ~哀れな人工知能研究者たち~」 (坂本)
1950年代から1970年代にかけての初期の人工知能の歴史と「古き良きAI」について一般問題解決器(GPS),機械翻訳,パターン認識を例に解説します.
講演2 「ドレイファスの批判とコネクショニズム以降の人工知能」 (小川)
機械が人間知性を再生産可能であると楽観的に論じていた当時のAI研究者たちに対し,ドレイファスは彼らが立脚している「四つの前提」を抽出することによって批判を行いました。しかし「古き良きAI」の時代は過ぎ,AI研究は大きく変化しています。この発表では,和訳されていない第3版のイントロ—コネクショニズム以降の人工知能に言及したドレイファスのテクスト—を参照し,ドレイファスの批判が現在どの程度通用するのか概観します。
講演3 「規則のパラドックスと合理性のありか」 (河村)
ドレイファスの批判を踏まえつつ、そのうちの「規則」に焦点を当てて議論します。人間がコンピュータに規則を教えるという状況において発生するパラドックスを通じて、合理性を必ずしも担保できない状況における意思決定の在り方を述べます。
講演4 「コネクショニズムと汎化」 (八木)
私たちが気軽に使えるようになったニューラルネットを下支えするコネクショニズムの基本概念と、それが今日「データから学ぶ」データ駆動科学と密接な関係を持つこと示したのち、ドレイファスが第3版イントロで示した「汎化」に対する懸念を掘り下げていきます。
参考文献
- Dreyfus, Hubert. 1978. What Computers Can’t Do: The Limits of Artificial Intelligence. 2nd Edition.
- =ヒューバート・ドレイファス. 1992. 『コンピュータには何ができないか:哲学的人工知能批判』黒崎政男+村若修訳. 産業図書.
- Dreyfus, Hubert. + Dreyfus, Stuart. 1987. Mind Over Machine: The Power of Human Intuition and Expertise in the Era of the Computer. NY: The Free Press.
- =ヒューバート・ドレイファス+スチュアート・ドレイファス. 1987. 『純粋人工知能批判―コンピュータは思考を獲得できるか』椋田直子訳. アスキー社.
- Dreyfus, Hubert. 1992. What Computers Still Can’t Do: A Critique of Artificial Reason, The MIT Press.
タイムテーブル
- 18:45 開場
- 19:00~19:05 オープニング (八木)
- 19:05~19:10 本会スポンサー様からのプレゼンテーション
- 19:10~19:30 講演1: 坂本 航太郎 「楽観論と打ち砕かれた夢 ~哀れな人工知能研究者たち~」
- 19:30~20:00 講演2: 小川 湧司「ドレイファスの批判とコネクショニズム以降の人工知能—What Computer’s Can’t Do 第3版イントロから検討する—」
- 20:00~20:20 講演3: 河村 雄輝「哲学から見た人工知能:表象について」
- 20:20~20:40 講演4: 八木 拓真「コネクショニズムとデータ駆動科学」
- 20:40~21:05 質疑応答
- 終了後 会場内にて懇親会
今後の勉強会予定
このWBA若手の会の勉強会を皮切りに,認知科学・情報科学・哲学を横断した読書会を定期的に開催する予定です。メルロ=ポンティ『知覚の現象学』,ギブソン『生態学的視覚論: ヒトの知覚世界を探る』,ダン・ザハヴィ『現象学的な心』などの著作を検討しています。参加連絡・質問等は小川湧司(一橋大学社会学研究科 p.f.kcrim.yuji@gmail.com)までお願いします。
懇親会
勉強会終了後の21:00より1時間ほど、ドワンゴ様の会場内で立食形式の懇親会を行いたいと思います。参加費は1000円を予定しています。 人数把握のため、参加希望の方は以下のページより登録ください(当日飛びこみも可能です)。
https://wbawakate.connpass.com/event/64980/
全脳アーキテクチャ若手の会について
全脳アーキテクチャ若手の会は、「脳や人工知能、そしてそれらが与える影響について興味がある全ての人のためのコミュニティ」として活動しています。学生に限らない幅広い立場・年代の方が参画しながら、「知能」にかかわる幅広い分野を対象とした、専門家・一般双方への学術的な情報発信に努めています。興味のある方は気軽にFBグループに参加ください。
Webサイト:http://wbawakate.jp/
FBグループ:https://www.facebook.com/groups/713921892010595/